電解コンデンサとタンタルコンデンサについてです。
共に極性があり比較的大きい容量のため違いが分かりにくいと思います。
そのためどんな違いがあって、どのように使い分けするのかなかなか分かりずらいと感じるかもしれません。
そんな疑問を解消するため電解コンデンサとタンタルコンデンサの構造と特徴の違いを比較してみました。
電解コンデンサの構造
電解コンデンサは主に以下5つの部品から構成されています。
◆陽極箔
・物質:アルミニウム箔
・役割:誘電体となる酸化アルミニウムの素となる
◆誘電体
・物質:酸化アルミニウム皮膜
・役割:電解コンデンサの性質を決める
◆セパレーター
・物質:天然セルロース
・役割:陽極箔と陰極箔の接触を防止し電解液を保持する
◆電解液
・物質:イオン性物質を溶媒に融解させた液体
・役割:電解コンデンサの性質を決める、酸化アルミニウム皮膜の修復
◆陰極箔
・物質:アルミニウム箔
・役割:外部端子と電解液を電気的に接続
タンタルコンデンサの構造
タンタルコンデンサは主に以下5つの部品から構成されております。
◆陽極
・物質:タンタル
・役割:誘電体となるタンタル酸化被膜の素となる
◆誘電体
・物質:タンタル酸化被膜
・役割:タンタルコンデンサの性質を決める
◆陰極
・物質:二酸化マンガン/導電性高分子
・役割:誘電体との電気的接続/タンタル酸化被膜の修復
◆グラファイト
・物質:炭素
・役割:接触抵抗の低減
◆銀層
・物質:銀
・役割:陰極端子と陰極を電気的に接続
アルミ電解コンデンサとタンタルコンデンサの特徴を比較
①極性の有無
アルミ電解コンデンサ及びタンタルコンデンサは共に極性があります。
使用する際は極性にあった向きに使用する必要があります。
②静電容量
アルミ電解コンデンサは数千uFまであるのに対しタンタルコンデンサは数百uFが一般的です。誘電率で比較するとタンタルコンデンサの方が大きいですが、アルミ電解コンデンサはエッチング処理により表面積を確保することで大容量を実現しています。
③寿命
タンタルコンデンサの方が優れています。
アルミニウム電解コンデンサは電解液が液体で蒸発するため寿命の概念があります。タンタルコンデンサは電解液がないため蒸発する懸念がなく寿命の概念がありません。
④ESR
タンタルコンデンサの方が優れています。(ESRが小さい)
以下一例ですが同一定格電圧、同一容量で比較した場合のERSです。
⑤温度変化よる性能変化
タンタルコンデンサの方が性能変化が小さい。
電解液の性質上、アルミニウム電解コンデンサは温度変化に対する性能変化が大きいです。
⑥形状
タンタルコンデンサの方が小さい。
タンタルコンデンサは2端子のチップ形状で高さも低く部品体積が小さいです。
⑦破壊モード
アルミ電解コンデンサはショートモードとオープンモードがあります。
タンタルコンデンサはショートモードのみです。
アルミ電解コンデンサとタンタルコンデンサの使い分け
①1000uF以上の容量が必要な場合はアルミ電解コンデンサを選択
②低ESRが要求される回路ではタンタルコンデンサを選択
③高寿命高信頼性が必要な場合はタンタルコンデンサを選択
(但し、一般的にタンタルコンデンサの方が値段が高いためコストと信頼性を天秤にかけて選定する必要性あり)
まとめ
電解コンデンサとタンタルコンデンサは似ている部分もありますが異なる部分もあります。
実際の設計では使用する回路でどのような特性が必要が把握してその特性にあった部品を選定する事が大切です。
そのためにはそれぞれの部品の特徴を把握しておく必要があります。
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