【トランジスタ回路】接地された負荷のドライブ回路の設計手順を詳しく解説します!

電子回路

今回のテーマはトランジスタで負荷をドライブさせる回路です。負荷は接地された場合(GDNに接続されている状態)を想定しています。本記事では回路動作の説明から設計手順と最後にシュミレーションで動作確認をします。

設置された負荷のドライブ回路について

回路は以下となります。
PNPトランジスタ(Tr1)と抵抗を2個(R1,R2)使用してRLを駆動する回路を構成します。

OFF時の動作(RLに電流が流れていない)
①マイコンの出力端子の電圧がHとなっている(Vccとなっている)
②R2に電流が流れないためA点の電位がVccとなる
③Tr1のエミッタ-ベース間電圧が同電位となる
④よってTr1がOFFしているため負荷RLに電流が流れていない

ON時の動作(RLに電流が流れている)
①マイコンの出力端子の電圧がLとなっている(0Vとなっている)
②B点の電位が0Vとなる
③Vcc⇒R2⇒R1の方向に電流が流れる
④Tr1のエミッタ電圧に対してベース電圧が低下し約0.6Vになる
⑤Tr1がONするため負荷RLに電流が流れる

トランジスタ回路の設計手順について

次は上記で説明した負荷ドライブ回路の設計手順を紹介します。
今回は以下条件を基に設計していきます。

<条件>
・Vcc=5V
・RL=500Ω

①負荷電流の算出
負荷電流は以下式より算出します。
負荷電流=Vcc/RL=5V/500Ω=10mA。

②Tr1の選定
スイッチとして使用するため以下3点の条件からTr1を算出しました。
・コレクタ-エミッタ間電圧定格=Vcc以上
・コレクタ-ベース間電圧定格=Vcc以上
・コレクタ電流=負荷電流以上
上記より今回は東芝製トランジスタ『2SA1832』を選定しました。他の部分については設計を進めていく過程で確認します。

③必要なベース電流の算出
ベース電流は以下式より算出します
Ib=Io/hfe
『2SA1832』のデータシートを確認すると直流電流増幅率が70~400と記載があります。
但し、条件を確認するとVce=-6Vとあり、今回の駆動条件とは異なります。その為、hfeはコレクタ-エミッタ間飽和電圧に記載されている条件であるhfe10倍で検討します。
Ib=10mA/10=1mA

④R1の抵抗値の選定
R1の抵抗値は以下より算出します。
R1=(Vcc-Vbe(Tr1))/1mA=(5V-0.6V)/1mA=4.4kΩ
実際はE24系の中から一番近い定数である4.3kΩを選定しました。

⑤R2の選定
R2は小さすぎるとマイコンがL出力時に流れ込む電流が増えます。一方で大きすぎるとマイコンの漏れ電流でTr1が誤ONしてしまいます。今回はマイコンの漏れ電流を一般的な1uAとし、誤動作しない抵抗値を算出し選定します。目安としては1uA流れても0.1Vの電圧しかTr1のエミッタ-ベース間に印加されない抵抗値としてます。

R2=0.1V/1uA=100kΩ

シュミレーションでの動作確認

最後に上記定数でシュミレーションを実施し回路動作を確認します。シュミレーションの回路は以下となります。今回はマイコンの代わりとしてSWを使用して回路を組みました。

回路動作は想定通り以下となっております。
①SW1がONしてR2⇒R1⇒SW1を経由して電流が流れる
②トランジスタのエミッタ-ベース間に電位差が発生しトランジスタがON
③Vcc⇒トランジスタ⇒RLに向かって電流が流れる(負荷電流が流れる)

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