アルミ電解コンデンサ 各種特性の内容を詳細に紹介します!

電子部品

今回のテーマはアルミ電解コンデンサです。各種コンデンサの中でもアルミ電解コンデンサは容量が大きく且つ安価なため使用頻度が多い部品です。本記事では各メーカから提示されている各種特性の紹介と注意点について解説します。

アルミ電解コンデンサの各種特性を紹介!

各メーカの仕様書を確認すると一般的に以下内容の特性が記載されています。
・カテゴリー温度範囲
・定格電圧範囲
・静電容量許容差
・定格リプル電流
・漏れ電流
・tan∂
・温度特性(インピーダンス比)
・耐久性

カテゴリー温度範囲

メーカが保証している性能を満足して使用できる使用温度範囲です。アルミ電解コンデンサの場合、標準品では-40~85℃、-40~105℃が一般的ですが高温度品では150℃まで保証している部品も存在しています。

【注意点】
カテゴリー温度範囲はあくまでアルミ電解コンデンサが実装される際の周囲の温度です。そのため実装されている回路(製品)の周囲温度が仮に40℃だとしてもアルミ電解コンデンサの近くに発熱部品がある場合、その発熱部品がアルミ電解コンデンサのカテゴリー温度を超える場合は距離を離すなど対策する必要があります。

定格電圧範囲

部品に印加できる電圧の範囲です。回路の最悪条件でも定格電圧範囲を超えない条件で使用する必要があります。

静電容量許容差

部品の製造バラツキによる静電容量のバラツキ範囲です。電解コンデンサの場合、他のコンデンサに比べて静電容量バラツキが大きく±20%品が支流です。

【注意点】
静電容量許容差はある温度でのバラツキを規定しています。(例として周囲温度=20℃時など)一方で温度によっても静電容量は変化するため、使用環境下で周囲温度が変化する場合、温度変化による容量変化も含めて問題ないか検討する必要があります。

・静電容量許容差=20%
・使用温度範囲による変化率=20%
・実使用条件での静電容量変化率=(100%-20%)-((100%-20%)×20%))=64%

定格リプル電流

アルミ電解コンデンサに流す事ができるリプル電流です。一般的に120Hzにおける電流条件で定格リプル電流を規定しています。

【注意点】
定格リプル電流はリプル電流の周波数により変化します。一般的にリプル電流の周波数が高いほど定格リプル電流の値も高くなります。よって、設計する際は電解コンデンサに流れるリプル電流の周波数を考慮して定格リプル電流を規定する必要があります。

漏れ電流

部品に直流電圧を印加した際に流れる漏れ電流です。一般的には『0.01CV又は3μAの大なる値以下』等の表現で規定されています。

【注意点】
①漏れ電流は0.01CVの様に静電容量と定格電圧で変化します。よって、対象のコンデンサ容量と定格電圧で漏れ電流を計算する必要があります。

例として以下場合の漏れ電流を算出
・0.01CV又は3μAの大いなる値以下
・静電容量=10uF
・定格電圧=16V

0.01CV=0.01×10μF×16V==1.6μA
よって漏れ電流は3μAとなる

②漏れ電流は一般的に直流電圧の印加直後に沢山流れ、時間経過とともに減少していきます。よって、各メーカで規定されている漏れ電流は2分後等ある程度経過した時間における漏れ電流で規定しています。

③漏れ電流は温度により変化し温度が高くなるにつれて増加する。

tan∂

容量性インピーダンスと等価直列抵抗(ESR)との関係性を表しています。読み方は『タンデル』と言います。容量性インピーダンスが同一の場合、tan∂の値は小さい値ほど等価直列抵抗が小さくなります。

温度特性(インピーダンス比)

常温時(20℃時)のインピーダンスを基準に低温時(-20℃時)のインピーダンスが何倍になるかを表しています。電解コンデンサのインピーダンスは低温になる程、高くなる傾向があるため常温と低温の比で表されている事が多いです。

【注意点】
インピーダンスの増加は回路動作に影響を与えます。その結果、常温では正常に動いていても低温状態では正常に動作しない場合があります。よって、電解コンデンサが実装される回路の使用温度範囲で正常に動作するか確認する必要があります。

耐久性

定格電圧をカテゴリー温度上限で印加した場合の耐久時間を表しています。電解コンデンサは電解液を使用してしており蒸発により特性が劣化するため、他のコンデンサと比較して耐久性が厳しい部品です。よって、各メーカである条件での耐久性(耐久時間)を規定しています。実際は上記条件に対し実際の使用条件に耐久時間を算出し、必要な耐久時間を満足しているか確認する必要があります。

電解コンデンサメーカについて

最後に参考として日本の電解コンデンサメーカを紹介します。
部品選定する際の参考にして下さい。

・日本ケミコン
・ニチコン
・Panasonic
・ルビコン
・エルナー
・サン電子
・TDK

以上、最後までお読み頂きありがとうございました。

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