◆抵抗の「定格電力」・「最高使用電圧」・「定格電圧」・「最高過負荷電圧」・「過負荷電圧」を詳しく解説

電子部品

抵抗を使用する上で大切な「定格電力」・「最高使用電圧」・「定格電圧」・「最高過負荷電圧」・「過負荷電圧」について解説します。

「定格電力」について

抵抗に印加できる最大電力の値です。
抵抗に印加される電力は以下式で算出できます。

$$W={V}\times{I}=\frac{V^2}{R}$$

$$\it{W=電力 V=印加電圧 R=抵抗値}$$

<注意点>
①温度により抵抗に印加できる最大電力は低下します。KOAのRK73シリーズの場合、70℃までは定格電力100%で使用可能ですが、70℃以降は以下グラフに示すように印加できる最大電力が低下します。


②実際に設計する際は定格電力に対してディレーティングを持たせた状態で使用する。使用する部品の定格電力が0.5Wの場合、実際に印加する電力は0.5Wの50%となる0.25W以下とするなど。何%のディレーティングを持たせるかは、各会社(各個人)により異なると思います。

※なぜディレーティングを持たせて使用するのか?
部品メーカが規定している範囲で使用するなら問題ないのではないかとお考えと思いますが、定格電力100%が印加させる環境下では部品の寿命が短い故障率が高くなることがあります。よって、電子部品を使用する各メーカはディレーティングを持たせて使用するのが一般的です。

「最高使用電圧」について

定常状態で部品に印加することができる最大電圧の値です。どんなことがあろうとも最高使用電圧以下で使用する必要があります。ただ、こちらについては定格電圧と絡めて考える必要があります。詳細は定格電圧の方にて解説します。

「定格電圧」について

部品に印加することができる最大電圧の値です。最高使用電圧と一緒ではないかと思われると思いますが、正しくもあり間違いでもあります。

各メーカのHPを確認すると以下文言があります。定格電圧は√定格電力×公称抵抗値又は最高使用電圧のいずれか低い値となる。

ここで言えるこは抵抗値により印加できる最大電圧が変化することです。一般的に抵抗値が低い場合は印加できる電圧が低く、抵抗値が高くなるにつれて印加できる電圧が高くなります。いくらでも高くなるわけではなく√定格電力×公称抵抗値の値が最高使用より高くなった場合は最高使用電圧が印加できる最大電圧となります。グラフで示すと以下となります。

KOA製抵抗RK73Bシリーズの場合

「最高過負荷電圧」について

ある限られた時間の範囲内で印加できる最大電圧の値です。時間の範囲は各メーカで考え方が異なるため注意が必要です。例えば、KOAの場合は5秒ですがロームの場合は2秒です。ただ、こちらについては過負荷電圧と絡めて考える必要があります。詳細は過負荷電圧の方にて解説します。

「過負荷電圧」

ある限られた時間の範囲で印加できる電圧の値です。一般的に過負荷電圧は定格電圧の2.5倍で規定されています。そのため抵抗値により過負荷電圧は変化し抵抗値が大きくなるにつれて過負荷電圧も高くなります。ただ、際限なく高くなるわけではなく定格電圧×2.5の値が最高過負荷電圧より高くなった場合、最高過負荷電圧がある限られた時間の範囲で印加できる電圧値となります。グラフで示すと以下となります。

KOA製抵抗RK73Bシリーズの場合

以上、最後までお読み頂きありがとうございました。

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