今回のテーマは『セラミックコンデンサの高誘電率系と温度補償用の違いと使い分けについて』です。
この記事を読めば、高誘電率系と温度補償用の違いと使い分け方法ついて理解できます。
高誘電率系と温度補償用の違いについて
材料の違いについて
【高誘電率系】
チタン酸バリウム(BaTio3) 強誘電体
【温度補償用】
酸化チタン(TiO2)やジルコ酸カルシウム(CaZrO3) 常誘電体
高誘電率系は誘電率を稼ぐため強誘電体を使用しています。
温度補償用は誘電率ではなく安定性を求めるため常誘電体を使用しています。
【強磁性体】
電圧を加えなくてもプラスの部分とマイナスの部分に分かれる物質
(電圧を加えなくても分極する物質)
【常誘電体】
電圧を加えないとプラスの部分とマイナスの部分に分かれない物質
(電圧を加えないと分極しない物質)
容量の違いについて
材料の違いから高誘電率系と温度補償用は容量が異なります。
・高誘電率系:容量が大きい
・温度補償用:容量が小さい
以下は村田製の一般用セラミックコンデンサであるGRMシリーズで比較したものです。
同じ条件で比較した場合、温度補償用と高誘電率系で4.7倍~50倍程度の違いがあります。
温度特性について
【高誘電率系】
温度による容量変化が大きい
【温度補償用】
温度による容量変化が小さい
<高誘電率系の温度特性>
<温度補償用の温度特性>
高誘電率系のセラミックコンデンサは使用温度範囲にて-82%~+22%程度容量変化します。
温度補償用のセラミックコンデンサは-18%~+6.3%程度容量変化します。
DCバイアス特性について
【高誘電率系】
印加する電圧によって容量が大きく変化
【温度補償用】
印加する電圧により殆ど容量が変化しない
以下は同一容量、同一形状、同一耐圧で比較した結果
経時変化率について
【高誘電率系】
経過時間に伴い容量が低下する
【温度補償用】
経過時間に伴い殆ど容量が低下しない
高誘電率系と温度補償用の使い分けについて
高誘電率系と温度補償用の違いから使い分ける際のポイントは以下となります。
・高誘電率系:大きな容量を確保したい場合
・温度補償用:容量の精度を必要とする場合
高誘電率系の使用回路例
・デカップリングコンデンサ
・平滑回路
・スナバ回路
温度補償用の使用回路例
・同調回路
・発振回路
・高周波フィルタ回路
以上、最後までお読み頂きありがとうございました。
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