今回のテーマは『抵抗によるマイコンの保護』です。
抵抗によるマイコンの保護回路
以下回路が抵抗によるマイコンの保護回路です。
抵抗だけの非常にシンプルな回路のため見る機会が多い回路かもしれせん。
Rpの抵抗がマイコン保護用の抵抗です。
サージ・ノイズによる破壊や電源(Vcc)やGNDとの短絡による破壊を防止します。
抵抗の選定方法
一般的には100Ω程度を接続することが多いため100Ωの抵抗を選定する際の手順を紹介します
短絡時に流れる電流を算出する
短絡時に流れる電流値を算出します。
必要な情報は『電源電圧』『マイコンの出力電圧』です。
◆電源短絡時に流れる電流(IOHS)
IOHS=電源電圧÷Rp
◆GND短絡時に流れる電流(IOLS)
IOLS=マイコンの出力電圧÷Rp
抵抗に印加される電圧と電力を算出する
上記で求めた短絡電流と抵抗値から印加電圧と印加損失を算出します。
◆抵抗に印加される電圧(VR)
VR=短絡電流(IOHS/IOLS)×Rp
◆抵抗に印加される損失(WR)
WR=短絡電流(IOHS/IOLS)^2×Rp
抵抗に必要な定格電圧と定格電力を検討する
上記で求めた印加電圧と印加損失から必要な定格電圧と定格電力を算出します。
その際、必要なティレーティングを取って算出する必要があります。
必要なディレーティングは会社で決まっていることがあるためその会社でディレーティングを確認し算出して下さい。
◆定格電圧の80%以下で使用する場合
印加電圧=0.8×定格電圧とする
◆定格電力の50%以下で使用する場合
印加損失=0.5×定格電力とする
最後に算出した必要な定格電圧と定格電力を満たした抵抗を選定します。
配置する際の注意ポイント
選定した抵抗値を配置した場合、誤動作しないか検討する
保護用のために付けた抵抗ですが回路動作上不具合を起こす可能性があります。
そのため、以下確認は必要と考えます。
- 波形の乱れがないかオシロスコープで確認する
- マイコン端子の漏れ電流により誤認識しないか確認する
抵抗はできるだけマイコンの端子側に配置する
基板設計の際にマイコン端子側に配置する。
抵抗とマイコン端子のパターンが長いと保護用に入れた抵抗とマイコン端子のパターン間にサージノイズが印加されやすくなり、そのノイズが直接マイコン端子に印加されるからです。
以上、最後までお読み頂きありがとうございました。
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